生徒の「考える力」を伸ばす情報の授業!現役非常勤講師が実践するグループワークと板書の工夫

黒板で授業をする女教師
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はじめに:高校「情報Ⅰ」の授業で本当に育てたい力とは?

現在、私は2つの高校を掛け持ちして非常勤講師を務めています。

月曜から金曜まで教壇に立ち、週の持ちコマ数は合計28コマ。月・火・金曜は高校Aで1日6時間のフルコマ(計18コマ)、水・木曜は高校Bで計10コマを担当するという、なかなかにハードなスケジュールです。

2022年度から高校での情報教育が「情報Ⅰ」に統一されたことで、学校やクラスによる進捗の差が出にくくなり、非常勤講師としての授業準備や進行管理は随分とスムーズになりました。

しかし、授業を進めるにあたって、私は単に教科書に書かれている専門用語や操作手順をなぞるだけでは意味がないと考えています。情報教育を通して生徒たちに最も身に付けてもらいたいのは、「問題提起に対して自ら主体的に向き合う『考える力と想像力』」です。

授業を受ける生徒
授業を受ける生徒

教科書を読むだけでは、その技術や知識が「自分たちの実生活にどう関わっているのか」を深く追求することはできません。情報という教科は数学のように「答えが常に1つ」とは限らない部分が多いため、生徒自身が「自分で考えて判断し、行動すること」が何よりも重要になります。

【実践編】主体的思考とリスク意識を育むグループワークの仕掛け

例えば、情報の基本的な特性である「残存性・複製性・伝播性」について学ぶ際、教科書の定義だけを丸暗記させても、生徒たちは実生活と結びつけてイメージすることができません。

そこで私の授業では、生徒たちが日頃何気なく行っているSNSやスマートフォンの行動をテーマにしたグループワークを導入しています。

  • 「どの情報特性によって、どんなトラブルが起こると思うか?」
  • 「実際に自分たちの身の回りで起こっていることはあるか?」

これらについて具体的に話し合ってもらいます。あふれかえるネット社会の中で、「自分たちが知らず知らずのうちにやってしまっている危険な行動」がいかに大きなリスクを伴うかを、自ら話し合いを通して自覚してもらうことが一番の狙いです。

こうした1人1台端末を活用したトラブル事例や、多様なデバイスを取り扱う授業形態の工夫については、以下の記事も参考にしてください。

  • 内部リンク:[高校「情報科」の授業はどう変わった?iPad・Chromebook・Surfaceのタブレット活用術と注意点](https://goodteacher1.com/informatics/informatics4/)

グループワークを行うと、セキュリティやリスクマネジメントの意識が高い生徒と低い生徒の間で議論が活発になり、非常に有意義な意見交換が行われます。こうした多角的な学びを展開できるのは、まさに情報科ならではの強みです。

回数を重ねるうちに、生徒たちも「情報の授業は自分たちで考える時間だ」と認識するようになり、授業が始まるとすぐに「先生、今日はグループワークをやりますか?」と楽しみにしてくれるようになります。

思考をアウトプットさせる発表と感想の「厳しい約束事」

グループワークでまとめた内容は、基本的には代表者に全体発表(プレゼンテーション)してもらいます。この際、ダラダラと話すのではなく「聴衆にとってわかりやすく、要点を端的にまとめて伝えること」を意識させます。

さらに、発表を聞いた周りの生徒たちにも、感想や意見を書いてもらいますが、ここには1つ厳しいルールを設けています。

それは、「面白かった」「良い意見だと思った」といった、小学生でも書けるような単純な感想は一切NG(認めない)というものです。

  • 「発表のどの部分に対して、なぜ、どのように共感したのか?」
  • 「自分だったらその課題に対してどのようにアプローチするか?」

これらを自分の言葉で具体的に文章化させます。自分の意見を論理的な文章に変換することが苦手な生徒もいますが、この訓練を繰り返すことで、思考を言語化する力が劇的に鍛えられます。

また、提出されたワークシートには独自の評価ハンコを押して返却し、生徒のモチベーションを高める工夫も行っています。こうした非常勤講師としての授業の工夫や勤務体系については、こちらの記事に詳しくまとめています。

  • 内部リンク:[非常勤講師になって良かった!高校教師としてのびのび教鞭を執る魅力とメリット、授業づくりの工夫](https://goodteacher1.com/salary/salary4/)

グループワーク中の机間巡視は、私にとって最も楽しい時間です。生徒同士が互いの意見をぶつけ合い、時に悩みながら問題解決に突き進んでいく姿が手に取るように見え、教師としてのやりがいを最も実感できる瞬間です。

【指導編】あえて「板書は最小限」に抑え、自己判断でメモを取らせる

私の授業では、黒板に文字をぎっしり書くような板書はほとんど行いません。

なぜなら、覚えなければならない専門用語や基本的な仕組みは、すべて美しく教科書に記載されているからです。わざわざ教員がそれを黒板に書き写し、生徒がノートに書き写すという作業は、時間の浪費だと考えています。

そのため、1学期最初のオリエンテーションで、生徒たちには「情報用のノートは用意しなくていい」と伝え、以下の3つのルールを共有しています。

1. 大事なことはすべて教科書にすでに明記されている

2. 授業の説明を聞いて、「これは後で見返したい」「大事だ」と感じた補足情報のみ、自分の判断で教科書の余白にメモを取ること

3. 書き残す必要があるかどうかの判断は、高校生なのだから自分自身で自己判断するべし

この約束を徹底するため、最初の数回の授業では「大事だと思う部分は自分で教科書にマーカーを引き、私の言葉を自分の判断でメモするんだよ」としつこく伝えます。すると生徒たちは、自ら色ペンやマーカーを用意して主体的に聞き取る姿勢を見せるようになります。

私が板書を使用するのは、「教科書には載っていないけれど、実社会に出てから必須となる最新のITビジネス用語」や「言葉だけでは理解しにくい概念を図解して説明する時」といった、限定的なシーンのみです。

【授業PDCA】複数クラスの反応を見て磨き上げる、臨機応変な授業展開

「授業を受けるかどうか、真剣に参加するかどうかも、最終的には生徒自身の自己判断に委ねるべきだ」と私は考えています。

もし、授業中に寝てしまう生徒や、スマートフォンをいじってしまう生徒がいたら、私は「生徒の授業態度が悪い」と責めるのではなく、「生徒を惹きつけられない、自分の授業がつまらないからだ」と猛省するようにしています。

授業というものは、教員側がいかに面白い展開を用意できるかという「腕の見せ所」です。常に自らの授業を客観的に見つめ直し、PDCAサイクルを回して改善していかなければ、良い授業は作れません。

私は1校で8〜9クラスの「情報Ⅰ」の授業を担当しています。

そのため、週の最初のクラスで実践した内容を踏まえ、「この言い回しは伝わりにくかったな」「次のクラスではこのスライドを先に見せてみよう」といった細かなブラッシュアップを毎時間行っています。

その結果、週の後半の8〜9クラス目になるほど、授業のクオリティはより安定し、生徒の反応も良くなっていきます。

授業はまさに「生き物」です。常に変化する生徒たちの様子にアンテナを張り、その場で最適な方向に微調整し、即実践に移す柔軟な行動力が、教員としてのスキルアップに繋がると実感しています。

プログラミング指導のような、さらに具体的な授業案や「情報Ⅰ」のつまずきやすい単元の教え方については、以下の記事で実例を詳しく解説しています。

  • 内部リンク:[高校「情報Ⅰ」のプログラミング授業はどう教える?苦手意識を克服する3つの指導コツ](https://goodteacher1.com/happy/happy3/)

また、このようなのびのびとした授業づくりの前提となる「非常勤講師としての働き方や就職プロセス」については、こちらの記事を参考にしてください。

  • 内部リンク:[高校「非常勤講師」の就活はどうやる?求人探しから模擬授業・面接突破のコツ](https://goodteacher1.com/salary/salary5/)

まとめ:「考える楽しさ」を伝える授業作りを続けよう

指示された内容をそのまま黒板に書いてノートに写すだけのような、受動的な授業は退屈です。

生徒が主体的に話し合い、自分で考え、悩みながらも「そういうことか!」と納得できる能動的な授業こそが、情報科の理想の授業だと信じています。

そのためには、教員自身が変化を楽しみ、フットワーク軽く授業をアップデートし続けることが欠かせません。これからも、生徒自身が「自らの成長と成果」を実感できる授業作りを楽しんでいきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

楽しい授業のコツ
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