X(旧Twitter)を見ていると、よく教師の大変エピソードを目にします。
もちろん、非常勤講師なりの大変さはありますが、専任や常勤の先生方が抱える問題と比べると、比較にならないくらいに負担は少ないでしょう。
そもそも非常勤講師という立ち位置は、専任や常勤だけではカバーできない授業時数を補足してくれる存在なので、大きな責任を背負うことがありません。
【非常勤講師の立ち位置と授業スタイル】
今まで複数校の非常勤講師をしてきましたが、どの高校も非常勤講師への対応をほとんど同じで、
【授業をお任せします】
がメインです。
学校によって、授業準備や定期試験の問題作成はあったものの、勤務時間を大幅に超えるような指示を受けたことがありません。
授業に関しても、基本は足並みそろえて進行しますが、やり方そのものは個人の裁量に任せてもらえる事のほうが多いので、私なりの授業の進め方、教え方でできます。
先生方みなさんお忙しいので、授業見学なども特になく、時々情報共有する程度で対応できます。
学校独自の学習スタイルは存在するので、それには順応しないといけませんね。
特に選択履修科目に割り当てられたときは、どこまでのレベルに到達させるのか、しっかりと教科で打ち合わせをしたり、今までの実績や過去のやり方などは教えていただきつつ、授業計画を立てないといけません。
しかしながら、それ自体は大変なことではありません。
教師になりたくて、教員免許を取得したわけですし、教科を指導するということは、自分の得意分野を教えられるということです。
今まで培った経験を存分に発揮できる場を提供してもらえたことのほうがありがたいわけなので、
- 「どんなふうに課題を作ろう」
- 「どうやったら面白いと思ってもらえるか」
- 「自己満足ではなく、生徒に響く学習ってどんなだろう」
- 「将来の可能性を伸ばしたい」
など、ワクワクが勝ります。
また、学校によって生徒の雰囲気(偏差値含む)や学ぶ姿勢が違うので、当然授業スタイルも変わってきます。
タブレット学習を導入している学校では、資料の配布は基本的にはアプリや配信システムを使用して、紙の印刷はほぼなしです。
課題提出も全てアプリ上で行いますので、授業時の工夫としては、見やすさは伝えやすさ、伝わりやすさが必要になるでしょう。
板書については、私は
「しなさい」
とは言いません。
自分で考えて、メモを取ったほうが後から見返したときに大事だと思うならメモしたらいい、という程度です。
ただし、メモがないと解けない問題を出し、課題提出にするので、結果的にメモを取る生徒は増えます。
そこが工夫ポイントかもしれませんね。
臨場感もありますし。
課題に関しては、後述しますが、臨機応変に生徒の反応を見ながら作成することもあります。
タブレット学習を導入していない学校では、やはりプリント配布が多くなってしまいがちです。
というのも情報ノートを用意させていないので、プリントに課題を盛り込み、グループワークに使ったり課題に取り組んだりさせることが多いためです。
プリント学習は生徒もまだ慣れが見られることから、中学校でも同様の学習方法で進めている学校が多いんだと思われます。
ただ、私の配布するプリントは、空白
(もしくはメモ欄として便箋のようなラインが複数ヵ所にある)
が多いです。
テストのような空欄を埋めなさい、という形式ではなく、単元のタイトルや、板書では描けないようなイラストは印刷していますが、授業内の説明やポイントは、生徒が自ら聞き取り、自分の言葉で書き取るように指導しています。
ただし、このポイントは押さえてもらいたい、という部分はあるので、その確認についてはプリント回収でチェックするようにしています。
グループワークでどのような意見が出たのか、自分の考えはどうだったのか、最終的に導き出した解答などです。
タブレットでの課題とは少し異なる部分もありますが、回収したプリントにハンコ
(かわいいやつ)
を押したりすると、
(先生っぽいな…と自己満足することもできるし)
生徒も反応しますね。
ハンコの種類で評価の差を示しているので、それについても生徒によっては高評価を狙ってプリントの記述をがんばっているようです。
ちょっとだけ生徒の心をくすぐっている感がありますね。
プリント評価は成績には大きく影響しませんが、生徒はそれがどこまでの評価対象になるかはわからないので、少しでも自分の評価を上げたい生徒は積極的にメモをがんばります。
アプリ配信にしてもプリント配布にしても、空白を多くするのは高校の特長ではないかと思っています。
このスタイルは、ある高校の非常勤講師をした際に、とても感心したので真似をさせてもらっています。
教師は、正解を丁寧に導くのが仕事かもしれませんが、私が参考にした学校では、自ら考える力を養わせることに本当に注力してます。
またきちんと結果としても出ていたのを体験したので、いちいち説明もしないし、さりげないヒントを聞き逃さない耳と、発想力で、ちゃんと正解にたどり着けたりするんです。
最近では、それを自分の力だけではなく、グループの力を結集させているので、授業自体は楽しく考えながら進行できていると思っています。
【非常勤講師は休みが多い!】
私が非常勤講師で本当に良かった!
って思えるのは、やはり休みが多いということです。
基本的には授業を担当するので、授業の無い日は休みになります。
学校が設けた家庭学習日、大きな行事やその行事の前後にある準備期間と片付け期間、夏休みや冬休みなどの大型連休は全て自由出勤という名の休みです。
土日を除いても相当休みがあります。
もしそれまでの授業準備で目一杯がんばったら、それに十分に見合うだけの休みがあるので、気持ちも身体もしっかりリフレッシュできます。
これが専任、常勤の先生には得られない解放感ではないでしょうか。
学校の先生は、授業以外の業務が多いんです。
生徒指導、保護者対応、部活顧問、公務分掌、研究授業などなど挙げればキリがないです。
X(旧Twitter)でも、拘束時間が長く終わらない業務に毎日疲労困憊されているツイートをよく見かけます。
それは大変そうで、身体も心も保つことのほうが難しそうなくらいです。
しかし、非常勤講師にはそのような状況は皆無です。
生徒指導は、目の前で問題が起これば対応しないといけませんが、手に負えないようなことは、担任や学年主任に報告しますし、保護者対応は今まで一度も経験がありません。
(そりゃそうです。非常勤なんだから)
部活動の顧問に憧ればありますが、依頼されることもないし、学校側としても授業のコマ単価以外に経費を支出したくないだろうし。
勤務時間も朝早くから出勤されている先生が多い中、特段の準備がなければ朝礼くらいの時間までに出勤できれば何も問題はなく、退勤時間は、授業終了後すぐなので、終礼(ホームルーム)がある生徒よりも早く学校を出られます。
6時間目の授業って、多くの学校は15時半前後だと思うので、実質の勤務時間は、8時半~15時半の7時間。
うち昼休みは自分次第ではありますが、30分程度は確保できるでしょう。
(そもそも学校の昼休憩は1時間なく、45分くらいですよね?)
ここでも専任や常勤の先生は、その間に生徒対応や保護者連絡をされているようで、休憩時間なんてほとんどなさそうな人ばかりです。
私は休憩時間はあまり必要ないので、授業準備の時間として充ててます。
このように、非常勤講師は休みが多いのが特徴です。
そして、休みの期間も給与はいただけるのが最大にして最高のメリットだと思います。
この働き方であれば、専任や常勤の先生と手取りが違っても労働時間で換算したら非常勤講師のほうが多いんじゃない?
と思うことがあります。
もちろん、専任や常勤の先生のように、社会保障がないことやボーナスがないといったこともありますが、夏休みの8月は1日から31日まで休業してるのに1か月分の給与が保証されているのは、私はボーナスとしていただいていると思っています。
定期試験が実施される月は、1週間弱が半日で終わるし、午後からお出かけ・・・
なんてことも余裕です。
今勤務している高校は定期試験問題がマーク式でOCR読み取りなので、採点する必要もなく、本当にありがたい限りです。
色んな先生がおられ、学校が、教育現場が成り立っていると理解しています。
でももし、教師になりたくてなったのに、精神的にも肉体的にも疲労困憊して、思うような授業ができないくらいなら、非常勤講師として自分のペースでやってみたらいい、そう心から思います。
ご購読ありがとうございました。
コメント