はじめに:自由な授業と「指導」のメリハリ
高校の授業中、生徒が騒がしくなったり、注意すべき行動をとったりした際、どのように指導すれば効果的か悩む先生は少なくありません。
私の授業(情報科)では、基本的に生徒には自由に考え、行動してもらいたいと思っています。そのため、授業内で「はい、シンキングタイムどうぞ!」と声をかけ、周囲の人と相談したり、問題解決の糸口を一緒に探してもらったりすることが多く、多少のにぎやかさは全く問題にしていません。
有意義な話し合いの中からは思わぬ発想が得られますし、ブレーンストーミングのように「批判しない、質より量」で多種多様な意見が飛び交うのは素晴らしいことです。
しかし、その自由の範疇を超えて「羽目を外した時」や「見過ごせないこと」があった場合は、その場でかなり強めに、ピシャリと指導します。
普段はニコニコと見守る「優しい先生」と思われているからこそ、ダメな時はしっかり指導する姿勢を見せることが、生徒との信頼関係を築く上で非常に重要です。
私が授業中の生徒指導において設けている「2つの明確な基準(ポイント)」についてお話しします。
基準1:羽目を外しすぎない(悪ふざけや相手を傷つける行為)
いくら「自由に意見を言っていい」といっても、高校生の中には、それをいいことに悪口や隠語に変換して面白がってしまう生徒もいます。これを見過ごすとクラス全体でエスカレートしてしまうため、気が付いた瞬間にすぐ介入します。

「悪口」に対する指導
「それは話し合いではなく、ただの悪口だよね。誰かを傷つけていい話し合いなんてありません。この教室で、誰かが嫌な思いをするような言葉が飛び交うことは、先生は絶対に許しません。」
特にこの「絶対に許しません」は強調し、教室全体に聞こえるように大きな声で伝えます。教室の雰囲気は一瞬ピリッとしますが、「羽目を外したらダメなんだ」とクラス全体に認識してもらうことの方が重要だからです。
「パソコンやデータの悪ふざけ」に対する指導(情報科特有)
情報科の授業で最も厳しく指導するのが、「悪ふざけで相手のデータを削除する」「相手が使用中のパソコンの電源を勝手に切る」といった行為です。
生徒たちは大抵、ふざけながら「先生!○○さんが勝手に電源落としましたー!」と笑って訴えてきます。そんな時、私はすぐに鬼の形相に変身します。
「誰だ!そんなとんでもないことをする人は!データは一生懸命作ったその人の『時間』そのものです。それを勝手に消すなんて、泥棒と同じだよ。今すぐ謝りなさい!」

これくらい強く言います。当然、教室の雰囲気は重苦しくなりますが、人の課題データを削除したり、保存前に電源を落としたりする行為は、「正当な評価を受けられなくなるかもしれない重罪」に値すると考えているからです。たとえデータがほとんどできていなかったとしても、「他人のパソコン(データ)を勝手に操作することの重大さ」をしっかり認識させます。
補足:教え合いのルール
パソコン操作が苦手な生徒の隣で、得意な生徒がマウスやキーボードを奪って代わりに操作してしまうことがあります。これも禁止しています。
「口は出してもいいけど、操作は必ず本人にやらせること」
これを徹底しないと、苦手な生徒は「自分でできた」という体験を得られないまま1年間を終えてしまうからです。
基準2:人の時間を奪わない(授業妨害への対応)
2つ目のポイントは、「人の時間を奪うような行為をしていないか」です。具体的には、授業中にうるさくして周りの生徒の邪魔をしたり、余計な話で妨害したりする行為を指します。
「授業中に寝る生徒」への対応
「人の時間を奪わない」という観点から言うと、実は私自身は「授業中に寝る」こと自体は大きく問題視していません。
もちろん眠くならない授業を展開するよう自分自身に喝を入れますが、寝ている生徒を無理矢理起こすことはしません。寝ることは自己責任だからです。

ただし、周囲の生徒にはこう伝えています。
寝ている生徒に対して、後で今日の授業内容を教えてあげてはいけません
寝て授業が分からなくなった部分は、人に頼らず自分でなんとか解決しなさい、と指導しています。これにより、真面目に起きている生徒の時間を「寝ていた生徒が奪う」ことを防いでいます。
「授業を妨害する生徒」への対応
一方で、授業中に誰かの迷惑になる行動(おしゃべりやちょっかい)が見受けられた時は、授業を中断してでも指導します。
「人の時間を奪って自分勝手な行動をとることは罪です。勉強したいと思っている他の生徒の邪魔をする権利は、あなたにはありません。あなたの行動が誰かの迷惑になっていると自覚してもらうことの方が大事なので伝えています。」
その時々で言い方は変わりますが、おおよそこのような内容を伝えます。
まとめ:生徒指導とは「自覚」を促すこと
指導というのは、単に怒ることではなく、「生徒自身に、自分の行動がどういう意味を持つのかを自覚してもらうこと」だと考えています。
本当にダメなものはダメ、嫌なことは嫌だというシンプルで大切なことを、角度を変えながら、生徒の心に響く言葉で伝えていけたらと思っています。
経験上、このように「ダメな時はしっかり叱る」というメリハリを持たせたクラスの方が、最終的に一目置いて話を聞いてくれるようになり、強い信頼関係を築くことができています。


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