【共通テスト 教科「情報」】
2025年の共通テストから情報が新設されることになり、情報科の教員はじめ、どうなるんだろうとここ数年授業に対する取り組みも変化してきたのではないでしょうか?
今までになかったことをするのは、どんなことでも不安がありますね。
少しずつテスト対策にちなんだサイトや書籍も増えてきており、いよいよ始まるんだと環境からも感じられるようになりました。
私が教員になったときは
「社会と情報」
が軸となっていて、それ以外に情報を扱う学校では、選択科目として情報に関する履修ができるようになっていました。
非常勤講師になって各学校でお世話になりましたが、印象としては
「情報って自由」
でしたね。
教科書の内容をしっかり具体的に進める、というより、PC教室を使ってワード、エクセル、パワーポイントなどを1年かけてやる学校もあれば、Adobeのソフトを使ってみたり、中にはプログラミングをやったり…。
知識より技術が主軸になっていた感覚でした。
情報Ⅰになってからは、各学校も教科書の内容+αでPCスキルを学ぶ、という流れに変化していったように感じています。
むしろ、教科書の内容としてはPCスキルを学ぶ内容ではなくなっているので、戸惑いの多い先生方もおられるのではないかと懸念があるくらいです。
何なら、1から情報Ⅰを学びなおしている先生も少なからずおられると思います。
そう考えると、今まで高校の情報って自由があって学校独自の動き
(教科の先生のやりたいようにできる独自教科)
をしていたんだな、と思うわけですが、そんな自由はとうとう終わりを迎えようとしていますね。
情報が共通テストの必須科目になる、という噂を耳にしてから、どうなるんだろうと戦々恐々としていたのは、そんなに前の話ではないです。
情報Ⅰ、情報Ⅱの概要を目にしたときに、
「社会と情報とは全然違う!」
と思ってしまって、より自分自身のスキル不足やどう教えていったらいいのか、そしてこの内容を1年間2単位でやり切らないといけないのか、そんなことが果たしてできるのか、と思いました。
実際ふたを開けると、授業内容そのものが大きく変化していたわけではなかったので、杞憂に過ぎなかったのですが。
しかしながら、文科省が
「情報」
を共通テストを必須科目にした意味合いは自分なりに考えました。
プログラミングの考え方や捉え方、自分で解決する力、というのはよく聞きますが、私自身は、情報で教えられることはほかにもあると思っていて、
(こんなこと言うと他教科の先生から反感を買うかもしれませんが)
情報は生活に一番密着している教科だと思っているので、今目の前で起こっていること、これから起こること、生活に根付いている情報社会だからこそ知らないといけないメリットとデメリットをしっかり分別ができるようになってほしいんですよね。
個々の在り方が大切にされるようになった一方で、他方を思い遣る気持ち、力は果たして育っているのか、そんなことも感じているのですが、それを教科を通して伝えられるのは情報じゃないかと思っています。
すこし道徳的な要素も含まれる部分があるかもしれません。
これは決して教科書の内容に明記されているわけではなく、私自身がかみ砕いてグループワークなどで取り組んでいる内容の一部なんですが、こんなグループワークができて、自分が得る情報の選別ができる力を身につけてもらえる教科って他にはないんじゃないか、って。
そんな風に考えると、あれ?
情報って未来の教科だな!
って捉えることができて、俄然やる気が起きている今日この頃です。
【これから教科「情報」はどうなるのか】
「情報」が共通テストの科目になったことで、2024年現在は、高校で履修単位数は2単位ですが、おそらく4~6単位になる時代が来ると思っています。
2単位の履修年を1年生に設定してしまうと、高校3年生までの2年間は情報に触れることなく、受験を迎えることになります。
受験年度にそんなことをするのは得策ではないと考えられますし、じゃあ高校3年生で2単位すればいいのか、というと新科目を2単位だけで
「はい、終わり」
というのも酷な気がしてなりません。
他の受験科目同様に高校1年から3年までコツコツ積み上げていくことも大事になってくると思うんです。
もうすでに対策をしている高校もあるでしょうが、情報演習あたりの履修科目が増設されて、受験対策をすることになるのではないかと予想しています。
今まで私が勤務してきた高校には、高校3年生の選択科目の中に情報に関するものを設置している学校が半数程度ありましたが、その中で一番面白い選択科目があったのは、ITパスポートの合格を目指す選択科目でした。
ITパスポートは国家資格ですから、高校卒業時に1つ国家資格を取得しよう、という試みだったのですね。
この授業を受け持った時は、ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系をそれぞれに教員1名が担当し、3人で協力して授業をしていました。
このような試みは私自身とても勉強になりましたし、教科
「情報」
として捉えてみても幅広いジャンルの知識を得ることができるので、高校生にとっても大きなチャレンジになるな、と実感しました。
いずれにせよ、情報という教科の奥深さを自分自身どれだけ理解しているのか、探求心を持ち続けて学んでいかなければならないと感じています。
未来の教科として、夢ある教科として、情報をどのように捉えて授業していくのか?
私ができることは何なのか?
私だから伝えられることは何なのか?
私が伝えることで生徒たちにどのような影響を与えることができるのか?
楽しい教科、面白い教科、だけではなく、私が伝える情報に出会って、日常生活が何か少しでもより良い方向に向かってくれることを心から願って、日々向き合っています。
私ひまわり先生の受け持つ学校の情報科の現状
私が勤務している学校では、高校1年生で情報を履修しているのですが、入学して4月と5月に授業参観が設けられています。
その時に私の授業がある時は、知的財産権の授業をすると、保護者の方も
「高校でこんなことまで教えてくれるんだ」
と大変好評いただけます。
保護者の方が高校生の時には、情報は存在していない教科でしたから、一体どんなことを学べるんだろう?
PC操作を教えてくれるんでしょう?
と思っている方も多いのではないかと思われますが、実は身近なところにある権利の話をすると、子どもたちより保護者のほうが関心を寄せてくれます。
そこから家庭内でも少し話題になればいいな、と思って授業をするように心がけています。
私は情報という教科は、暗記すること、や、どうせ忘れてしまうんだから、や、大人になって必要ないから、なんて言われる教科ではないと思っています。
もちろんすべての教科で、そのような気持ちで取り組んでいるといっているわけではありません。
ただ高校生の99%がスマートフォンを利用しており、全国の小学校からタブレットで授業をしている現状を見たときに、少なくともスマートフォンやタブレットから得る情報の扱い方をしっかり学べる教科は情報ではないか、と思うのです。
すでにインターネットを使いこなしている世代に、これから伝えられることは、脅威と信憑性、安全性、などです。
それは暗記することではなく、今まさに知って、使い方をもう一度考えてもらいたい。
そんな役割を、責任を持っているのが教科
「情報」
であるといいたいのです。
できれば、授業参観だからではなく、子どもたちから保護者へ伝えられること、まで考えて授業をしていきたいと思っています。
ご購読ありがとうございました。
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