ひまわり先生が初めて勤務したヤンキー高校【エピソード2】

ヤンキー生徒たち
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【ヤンキー高校 授業計画】

ヤンキー高校では、大変ありがたいことに、非常勤講師には極力授業に集中してもらいたいから授業準備は専任のほうでやっておきます、的なスタンスでした。

出勤すると、今日の授業で必要なプリントが印刷されていることがほとんどで、プリントを見れば何をするべきかが分かります。

あまり大きな声では言えませんが、情報科では、教科書どおりに学習を進める、というより、学校独自の進め方がありました。

もちろん、学習内容はある程度沿ったものになりますが、コンピュータ実習を伴う科目であったため、学校として生徒に何を身につけさせたいのか、ということが大前提としてありました。

大学進学するにしても社会人になるにしても、今はコンピュータがそれなりに扱えないと困るよね、という位置付け出会ったように思います。

私が勤務したヤンキー高校も同様でしたが、進学の場合は、より専門性の高いところを目指していたこともあり、プログラミングに大変注力していました。

ですので、教科書の内容からさらに充実させる必要があったため、プログラミングの教科書を別途用意して授業をすすめていました。

1学期はscratchを使ってアルゴリズムを学び、2学期はJava言語を学びます。

プログラミング

scratchに関しては、早いところだと小学校からプログラミング教育として学習をしているところもあります。

動作の組み立てがブロックのようになっていて、日本語でアルゴリズムを作っていくので、とても分かりやすいと思います。

WEB版ではアカウントを取得すれば世界中の人たちに自分が作成したプログラミングを見てもらうことができるので、ゲームを作って投稿したり、他人の作ったゲームで遊んだりすることができます。

やはり、プログラミングやアルゴリズムという言葉を聞くだけで難しそうだ、というイメージがついてきやすいので、誰でも簡単にプログラミングが出来るという点ではとても優秀なアプリケーションです。

さて、このscratchをヤンキー高校の生徒にやってもらうわけですが、アルゴリズムの説明からしてしまうと、どうしてもやる気が出ない状況からスタートすることになってしまいます。

ですのでまずは真似してみてね、と言って、スクリーンと中間モニターで操作を見せて、実践させてみることにしました。

ここで、私が気づいた事は、生徒の状況状態に合わせて、少しでも長くやる気を継続させるために、どうするのが良いのか、を考えるべきだ、ということです。

【ヤンキー高校 生徒たちの雰囲気】

ヤンキー高校の生徒は(みんなではないですが)、一言で言うと集中力が極端にないです。

また楽しいことしか基本的にはやりたくないし、楽しくないと分かったらすぐに授業を放棄します。

座学の授業を数回行った際にそれに気付きました。

つまり、面白かったらやる気は継続されるわけです。

じゃあ、どうやったら

「楽しい、面白い」

と思ってもらえるのか、それを探らなければ、授業は成立しなくなるわけです。

Scratchに関しては、まず理屈は後回しにして、キャラクターを面白おかしく動かしてみる、ということから始めました。

特に理由は言いません。

とにかく同じことをしてみてごらん、というわけです。

例えば、キャラクターの歩数を10から100に変更してごらん、と言うと、ハイスピードで画面を駆け回ります。

まだ何が何だかよくかわからないけど、なんとなくでも面白いと思ってもらえるように、scratchを動かしていきます。

もし1つでも面白いと思ってもらえたら、生徒は

「先生、次はどうするの?何したらいいの?」

となるので、

「じゃあ、こんな動きをしてみようか」

と言って、新たな動作に入ります。

プログラミング画面

その時に、実はアルゴリズムが正しくないとうまく動かなかったり、思った動きにならなかったりするので、ここまできたら、ある程度

「つかみはOK」

なわけです。

わざと間違ったアルゴリズムを動作させて、どこが間違っていたのか、どう修正すればいいのか、を考えさせます。

その時にようやく

「この一連の動作のことをアルゴリズムっていうんだよ。アルゴリズムって順番が大事だよね」

と説明ができるようになります。

ヤンキー高校の実習授業に関しては、説明はあと、実践が先、という授業スタイルがはまりました。

【ヤンキー高校 生徒たちの変化】

ヤンキー高校の生徒は、私が非常勤講師として勤務する前の面接時から、少し生徒が荒れているという話でした。

何をもって荒れているというのかは、色々な観点があると思います。

人とのコミュニケーションをとるのが苦手、相手に自分の気持ちを伝えるのが苦手、語彙力がないがゆえに、本当に伝えたいことを伝えられないもどかしさ。

そういうことから、学校内でも家庭内でもコミュニケーションがとれずに、いじめに遭ったり、家庭内暴力を受けていたり、また小学校や中学校の教師からも見放されたと感じていた生徒が多くいました。

生徒の中には、大人が嫌い、という子もいて、大人という大きな括りで私も見られているから、まず、私は敵ではないよ、ということを感じてもらうことが大事だと思いました。

大人が嫌いという理由を私なりに考えてみたところ、信用されなかった経験や、何か痛みを伴う経験があったんじゃないか、と思いました。

私の想像なんて大したことではありませんが、私は生徒のことを放置はしないし、ちゃんと目を見て話す、絶対に目をそらさないと、それと、誠実に向き合うことを意識しました。

大人に敵意を向ける生徒がそのまま大きくなって社会人になった時に、自分の感情だけで人のことを

「嫌い」

という判断をしてしまうと、生きづらくなると思いました。

でも私の人間性を自分で説いたところで何の意味もないし、生徒に私がそれほど悪い大人じゃないんじゃないか、って思ってもらえることが大事です。

当たり前ですけど媚たりしませんよ。

そうではなく、丁寧に話を聞く、伝わるまで根気強く伝える、そして目を見て誠実に接する、ということです。

そうしていくと、だんだん周囲の私の見る目が変わってきたのが分かりました。

笑顔のヤンキー男子生徒

今まで敵対心剝き出しで、おそらく投げ出してしまった教師もいたのでしょう。

が私は決して見放したりしなかったので、生徒からしたら、

「こいつ、根性あるな」

という感じでしょうか。

そういう雰囲気がだんだんクラス中でも感じられるようになり、ついには生徒も積極的に私にはコミュニケーションをとってくれるようになりました。

休みがちだった生徒たちもほとんどの授業に出席してくれるようになりました。

コミュニケーションが取れない生徒の多くは、言葉で気持ちを表現するのが苦手なので、伝えることを放棄し、人との接点を投げやりにしてしまう傾向がありました。

もどかしい気持ちの吐きどころがなくなったら、暴力で解決してしまおうとしたこともあったようです。

そんな生徒に向き合うときは、私から

「こんな風に思っているのかな?」

という具合にこちらから言葉を探っては確認し、本人との意思疎通を図りました。

「少し違う」

と言われれば、

「じゃあ、こういうことかな?」

とあれこれと言葉探しをしては、コミュニケーションを取るようにしました。

時には、そういう時はこんな風に言うといいよ、というアドバイスもしながら。

それから、言葉足らずで相手を傷つけてしまうことがあった場合は、

「そういう言い方をすると、先生ショックだわ。傷つくわ。悲しくなるわ。」

と伝えるようにしました。

人を傷つけてしまう生徒は、自分が傷ついた経験があることがほとんどだと思います。

だからこそ、痛みに敏感だと思うのです。

少なくとも私自身は、そんな痛みを癒す人間でありたいと思っているし、そんな教師でありたいとも思っています。

そのためにも、生徒の痛みに気付いてあげられるように、いつも目配り気配り心配りを心がけていきたいと思っています。

ご購読ありがとうございました。

問題生徒との接し方
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