審査員全員E判定の絶望から金賞へ!和菓子屋社長を兼ねるクラリネットの恩師が教えてくれた「3つの心構え」

男性教師
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審査員全員E判定の絶望から金賞へ!和菓子屋社長を兼ねるクラリネットの恩師が教えてくれた「3つの心構え」

「あなたにとって理想の高校教師とは?」と聞かれて、皆さんはどんな教師を思い浮かべますか?

私には、理想とする教師像があります。

それは、私がこれまでの人生の中で出会ってきた素晴らしい恩師たちとの思い出が、大きく影響しています。

今回は、私が教師を目指すきっかけとなった出会いや出来事を紹介するシリーズの完結編、「高校編・その2」をお届けします。私の人格形成に決定的な影響を与えた、人生の【心構え(モットー)】にまつわるお話です。

初めてのコンクールは全員E判定の洗礼!弱小吹奏楽部が直面した現実

高校1年生の夏、私は吹奏楽部に所属し、人生で初めての「吹奏楽コンクール」という大舞台に臨みました。

(中学時代の吹奏楽部は、コンクールの存在すら知らない超弱小チームだったため、私にとっては文字通り初めての挑戦でした。)

当時、部活動の指揮・指導をしてくださっていたのは、OBの先輩でありプロのジャズトランペッターのKさんでした。

30代半ばのKさんは非常に情熱的で、音楽に対する熱意は人一倍熱い方でした。彼の奏でるトランペットは、時に激しく荒々しく、時に小川のせせらぎのように優しく、その美しい音色のギャップに私たちはいつも魅了されていました。

Kさんの熱血指導のもと、全員で一丸となって臨んだコンクール。しかし、そこで突きつけられた結果は、私たちの予想を遥かに超えて無惨なものでした。

私は初のコンクールにただ舞い上がっていただけだったのですが、中学時代から高い目標を掲げていた先輩たちにとって、その結果はあまりにも残酷な現実でした。

なんと、審査員5人全員が最低評価の「E判定」を下したのです。

部員「コンクールに『E判定』なんて存在するんだ……Cまでしかないと思ってた……」

愕然と立ち尽くし、涙を流す先輩たちの姿を見て、私は初めて吹奏楽コンクールという世界がいかに厳しく、そしてどれほど大きな熱量を持って挑まねばならない目標であるかを知り、身が引き締まる思いがしたのです。

異色の指導者!和菓子屋の社長であり音大出身クラリネット奏者のI先生との出会い

絶望のコンクールから約1ヶ月後、私の人生を根本から変える運命的な出会いがありました。

地元の強豪中学の吹奏楽部を指導し、毎年「金賞」を受賞させていた伝説の指導者・I先生が、私たちの指導に来てくださることになったのです。

I先生は音楽大学の出身で、私と同じクラリネット奏者でした。そして何よりユニークだったのは、教職を退いた後、現在は地元で大人気の和菓子屋さんの社長をされているという、非常に異色な経歴の持ち主だったことです。

あまりの有名人ぶりに部員一同が歓喜するなか、私とI先生の最初の出会いは、ちょっとした笑える珍事件から始まりました。

ある日の終わりのホームルーム時、担任の先生が深刻な顔で言いました。

「最近、学校周辺で首を傾けて歩く不審者の目撃情報があります。知らない人には絶対に近づかないように!」

怯えながら下校しようと階段を下りていたその時、まさに階段の下から、首を少し傾けて斜めに上がってくる怪しげなおじさんが視界に入ったのです。

ひまわり「(……出た!!!不審者だ!!!)」

恐怖で心臓が止まりそうになった私は、全力ダッシュで階段を駆け上がり、クラリネットの先輩であるS先輩が練習している教室へ飛び込みました。

ひまわり「先輩!大変です!階段の下に不審者がいます!!!」
S先輩「え?何言ってんの?」

慌てて様子を見に行ったS先輩でしたが、その「不審者」の姿を見るなり、深く腰を折って丁寧にお辞儀をしたのです。

S先輩「I先生!ご無沙汰しております!本日はお忙しい中、ありがとうございます!」

私の脳内はパニック状態になりました。

(えっ!?不審者じゃなくて、あの有名なI先生だったの……!?)

勝手に不審者だと決めつけ、怯えて全力疾走した恥ずかしさと、想像以上の気さくなおじさん(I先生)の姿に、しばらく心拍数が落ち着きませんでした(笑)。

しかし、I先生が音楽室に入って合奏が始まると、どんよりと沈んでいた部活の空気は一瞬にして笑顔と活気に包まれていきました。

和菓子屋の2階での自主練習と、I先生が教えてくれた「イメージと音が共鳴する音楽」の爆発力

私が「音楽大学に進学したい」という強い希望を伝えると、I先生は笑顔でとてもありがたい提案をしてくださいました。

I先生「部活の全体練習の後に自分の受験の練習(クラリネット)をするのは場所の確保が大変だろう。僕のお店の2階を練習部屋として使っていいよ」

お言葉に甘えて、私はその日から毎日、18時の部活終了後にI先生の和菓子屋さんへ直行し、20時過ぎまでひたすらクラリネットを吹き鳴らしました。I先生は1階の工場であんこを炊いたり和菓子を作ったりしながら、たまに私の練習の様子を覗きに来てくれました。

実は、I先生からクラリネットの指使いなどの具体的な「技術指導」はありませんでした。

それは、私が受験に向けて別のA先生に正式に師事していたため、指導内容が混在して混乱しないようにという、指導者としてのI先生のプロの配慮でした。

その代わり、I先生からは「音楽を人に伝えるための表現力」「心と体の使い方」について、深く教えていただきました。

I先生「ただ音符をなぞるだけでは音楽じゃない。聴く人の心にイメージを伝えること。そのためには、自分自身がまずその情景を心に描き、音とイメージを共鳴させるんだ」

楽譜の背景にある感情を想像し、息に乗せて楽器に吹き込む。

自分のイメージと楽器の音が一本の線で繋がった瞬間、音楽が信じられないほどのエネルギーと爆発力を持つことを、私は肌で実感しました。

この和菓子屋さんの2階での練習とI先生との対話を通じて、私は確信したのです。

「私が将来作りたい音楽、そして子どもたちにしたい指導はこれだ!」と。

教師となった今でも大切にしている、I先生から受け継いだ「3つの心構え」

高校生活の2年間、和菓子屋さんの2階で毎日練習を重ねる中で、私の中にI先生から授かった強力な「人生の背骨」が形成されました。

ある日、I先生が私に教えてくれた「人生を豊かにし、何事もうまくいくための3つの心構え」があります。

それは、

1. 「素直であること」

2. 「勉強熱心(練習熱心)であること」

3. 「プラス思考であること」

I先生「この3つを常に心がけて実践していれば、どんな困難にぶつかっても必ず乗り越えられるし、何事もうまくいくよ。お前はそれができる人間だからね」

このI先生の言葉は、私の人生の最も大きなモットーとなりました。

その後の音楽大学での過酷な日々や、高校の教師となってから突き当たったさまざまな壁の前でも、私はいつもこの「3つの心構え」を心の中で唱え、前を向いて歩き続けることができました。

そして今、教壇に立つ私は、かつてI先生が私に語りかけてくれたように、出会った生徒たちへこの言葉をそのまま贈っています。

「素直さ、熱心さ、そしてプラス思考。この3つがあれば、君たちの未来はいくらでも輝くよ」と。

私が夢を叶え、教師として充実した日々を過ごし、幸せである理由は、紛れもなくあの高校時代にI先生と出会い、この心構えを授かったからです。

私の理想の教師像の源流には、いつもあの和菓子屋さんのあんこの甘い香りと、温かなI先生の笑顔があります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

お世話になった先生たち
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