アラサー・社会人で挑んだ教育実習。緊張と不安の中で出会った運命の指導教諭
「あなたにとって理想の高校教師とは?」と聞かれて、皆さんはどんな教師を思い浮かべますか?
私には、教壇に立つ今でも心の中に強く刻み込まれている「理想の教師像」があります。
それは、私がこれまでの人生の中で出会ってきた素晴らしい恩師たちから受け取った、数々の温かい教えや情熱が土台となっています。
これまでに【小学校編・中学校編・高校編】とお話ししてきましたが、今回は私がアラサーで教員免許取得に挑戦した際に経験した、「教育実習編(お世話になった先生たち)」をお届けします。
アラサー実習生を包み込んでくれた、ベテラン指導教諭・K先生との出会い
大学を卒業して一度は社会人を経験し、結婚・出産・パソコンインストラクターを経て、アラサーになってから通信制大学で教員免許の取得を目指した私。
周りの実習生が21〜22歳のフレッシュな現役大学生ばかりの中、私は完全に「年上の社会人実習生」でした。
「若い生徒たちに受け入れてもらえるだろうか……」
「授業で失敗して、生徒や学校に迷惑をかけてしまったらどうしよう……」
実習初日の朝、職員室に向かう私の足は緊張とプレッシャーでガタガタと震えていました。
そんな私を温かい笑顔で迎えてくださったのが、私の指導教諭を担当してくださることになったベテラン教諭のK先生でした。

K先生は、長年にわたって情報・商業科目を教え、生徒たちからも職員室の先生方からも絶大な信頼を寄せられている大ベテランの先生でした。
初日の面談でガチガチに固まっていた私に、K先生は優しいお茶を差し出しながらこう言って微笑んでくれたのです。
K先生「ひまわりさん、社会人を経験して子育てをしながら先生を目指すなんて、本当に素晴らしいことよ。若い大学生にはない『人生の経験』という大きな武器があなたにはある。自信を持って、生徒たちと全力で向き合ってみてね」
その一言で、張り詰めていた私の心の緊張がすっと解け、涙が出そうになるほど救われたのを今でも鮮明に覚えています。
大失敗した初めての模擬授業!「知識を詰め込むこと」が授業ではない
しかし、実際の授業づくりは甘くありませんでした。
実習2週目、初めてクラスの前で教壇に立って行った模擬授業で、私は大失敗をしてしまったのです。
「45分間で、用意した教科書の内容をすべて完璧に教えきらなければ!」と焦るあまり、私は黒板にびっしりと文字を書き殴り、早口で一方的に説明し続けるだけの「完全な詰め込み授業」を展開してしまいました。
生徒たちの表情を見る余裕など1ミリもなく、気がつけば教室の後ろの生徒は退屈そうにペンを回し、数人は完全に舟を漕いで居眠り状態……。
授業終わりのチャイムが鳴った瞬間、私は自分の不甲斐なさと情けなさで頭が真っ白になりました。
放課後、反省会で落ち込む私に、K先生は優しく、しかし真剣な眼差しでこう語りかけてくれました。

K先生「ひまわりさん、先生の自己満足で終わる授業をしちゃダメよ。知識を一方的に喋り倒すのは、教師の仕事じゃないの。授業の主役はあくまで生徒。『へぇ!なるほど!』『自分でできた!』っていう生徒の瞳の輝きを引き出すことこそが、私たちが教壇に立つ本当の目的なのよ」
K先生の言葉は、私の胸に深く突き刺さりました。
私は「上手に教えよう」「失敗しないようにしよう」と自分自身の評価ばかりを気にし、肝心の「生徒たちの学びや感情」に目を向けていなかったことに気づかされたのです。
「生徒同士が教え合う」授業への大転換!教室に広がった笑顔と活気
K先生のアドバイスを受けて、私は授業プランを根本から見直しました。
一方的な講義スタイルをスパッと捨て、
- 生徒が自分で手を動かして考える「ワーク中心の構成」
- わからない部分を周りの友達同士で教え合う「ピア・ラーニング(協働学習)」
- 実社会や身近な生活と結びつけた「面白い導入トーク」
をふんだんに取り入れた授業案へと作り直したのです。連日、夜遅くまでK先生と一緒に指導案を練り直し、教材研究に没頭しました。
そして迎えた実習最終週の研究授業。
教室に入った私は、教壇の中央に立ち、生徒一人ひとりの目をしっかりと見つめて笑顔で挨拶をしました。

授業が始まると、生徒たちは積極的に課題に取り組み、「これどうやるの?」「あ、わかった!こうだよ!」と自然に教え合いの声が教室中に響き渡りました。
前回の授業で居眠りをしていた生徒が、目を輝かせてパソコンの画面に向き合い、課題を完成させて「先生、できたよ!」と嬉しそうに手を挙げてくれた瞬間、胸が熱くなりました。
教室の後ろで見守っていたK先生も、大きく頷きながら優しく微笑んでくれていました。
実習最終日にいただいた涙のメッセージと、今も胸に生きる恩師の教え
3週間の教育実習が終わる最後の日、クラスの生徒たちから心のこもったメッセージ色紙を手渡され、私は涙が止まりませんでした。
そして実習の締めくくりとして、K先生が私に手渡してくれた評価表の隅には、温かい直筆のメッセージが添えられていたのです。
『ひまわり先生へ。生徒の目線に立ち、失敗を恐れずに挑戦する姿勢は本当に見事でした。あなたには、生徒の心を開く天性の明るさと温かさがあります。これから先、どんな壁にぶつかっても、生徒を信じることだけは絶対に諦めないでください。現場で同じ教師として再会できる日を楽しみにしています。』
このK先生からの言葉は、その後に非常勤講師として高校の教壇に立つことになった私の、何よりの「心の支え(お守り)」となりました。

現在、高校で情報科の授業を担当している私も、K先生の教えを胸に、常に「生徒が主役の楽しい授業」「一人ひとりの心に寄り添う指導」を心がけています。
大人になってからでも、本気で向き合ってくれる素晴らしい恩師に出会えること。
そして、その恩師から受け取った教育への情熱のバトンを、今度は私が目の前の高校生たちへと繋いでいくこと。
これこそが、私が教師という仕事に誇りと感謝を持ち続けられる最大の理由です。
K先生、あの時私を信じて背中を押してくださり、本当にありがとうございました!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(関連記事:[ひまわり先生が高校生時代に出会った素晴らしい恩師のお話](https://goodteacher1.com/teacher/teacher6/))


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