ひまわり先生が高校生時代に出会った良い先生のお話、その2

男性教師
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はじめに

高校時代は、具体的に将来の夢に向かって行動する時期です。

前回のお話では、音楽大学を受験するためにピアノの先生を代え、別の環境で受験モードに突入したところでした。

今回のお話は、私自身のモチベーションや人格形成に大いに影響をしている【心構え(モットー)】編です。

初めての吹奏楽コンクール

高校1年生で吹奏楽部に所属し、その年、初めての吹奏楽コンクールに出場しました。

(中学校編で、超弱小吹奏楽部だったため、コンクールなんて存在はつゆ知らず・・・でした)

当時、外部指導者として部活の指揮指導をしてくださっていたのが、先輩のKさんです。

KさんはOBでプロのジャズトランぺッターでした。

年齢も30代半ばということもあり、非常に情熱的で感情的で、トランペットの腕前はそれはそれはピカイチでした。

Kさんのトランペットの音色は時に激しく荒々しく、時に優しく小川のせせらぎのようで、そのギャップが魅力でもありました。

そんなKさんの指導の下、吹奏楽コンクールに出場したのですが、結果は史上まれにみる散々たるものでした。

当時の私は初コンクールに舞い上がって、結果に対して何の不満もなかったのですが、中学時代から吹奏楽コンクールに対して大きな思い入れを持って活動してきた人たちにとって、その結果は受け入れ難いものでした。

審査5人全員が最低評価のE判定を出したのです。

吹奏楽部員の中には、

「C判定までしか存在しないと思ってた・・・」

と言った人もいて、その言葉で、どれほどのショックと驚き、悲しみ、悔しさというより、もはや裏切りに近い感情があるのだろうと推察されました。

それと同時に、私自身も吹奏楽コンクールというものが、いかに目指すべき目標だったのかと思い知ったのでした。

クラリネット奏者の和菓子屋社長との出会い

絶望の吹奏楽コンクールから1カ月くらい経ったころでしょうか。

私の人生を大きく変える人物との出会いがあります。

I先生は、地元の中学吹奏楽部を外部指導していた、元中学音楽教師でした。

「元」というのは、現在は教員ではなく、地元で人気の和菓子屋さんの社長をされている、面白い経歴の持ち主です。

しかもI先生は私が目指す音楽大学を出身していて、同じクラリネット奏者でもありました。

それだけではありません。

I先生が指導をしていた吹奏楽部は

「金賞」

を受賞するほどの音楽を奏でる、地元で知らない人はいないほどの有名人だったのです。

(私は全く知りませんでしたが・・・汗)

中学吹奏楽部時代にI先生に指導してもらっていた部員が、直談判をして、高校吹奏楽部に指導者としてお招きすることができたのです。

初めての出会いは、ちょっとした面白いエピソードでして・・・

いつもと変わらない日常と学校生活だったある日の終礼(終わりのホームルーム時)に、担任の先生が

「最近学校周辺で不審者が目撃されています。みんな知らない人には近づかないように、声をかけられてもついていかないように、怪しい場合はすぐに教員、親、学校に連絡をするように!」

とお達しがあったんです。

当然、私は内心

「えーー、こわーーい。」

と思うわけです。

しかも高校で不審者って・・・

はい、お察しのとおりですよ。

私は、I先生を完全に不審者と見間違えたんです(笑)

校舎の階段を下りていたときに、とても怪しげな不審者I先生が、階段を上がってきていて、I先生の歩き方の癖なんですが、若干首を傾けて歩くんです。

いや、私からしたら体を斜めにして階段上ってくるおじさん=不審者 でしょ。

一瞬心臓が止まりそうになりながらも、下りようとしていた階段を逆に全力ダッシュで駆け上がり、クラリネットのS先輩が練習している教室に飛び込み

「先輩!不審者がいます!!!」

と必死の形相で訴えました。

するとS先輩は

「え?何言ってんの?」

と言って、不審者を見に行ったのです。

そしてその不審者と対面するなり

「I先生!!ご無沙汰しています!今日はありがとうございます。」

と深々とお辞儀するではありませんか。

ほんの数分の出来事ですが、私の脳内パニック状態が、なかなかその状況把握に追いつきません。

だって考えてもみてください。

(不審者=指導者)なんですよ。

しかも私が勝手に想像した不審者像がそこそこ暴走しているわけですからね。

もうそのおじさんが恐怖の対象に見えて、なかなか近づけなかったし、仲良く話しているS先輩が襲われるんじゃないか、くらいに思って様子を伺っていました。

多くの吹奏楽部員は、有名人のI先生に敬服するように周りに集まってきて、音楽室がとても笑顔と笑いで包まれて、にぎやかになっていきました。

そして、全員集合して合奏が始まったのです。

さて、I先生との出会いから、吹奏楽部はその後、金賞を獲ることになるのですが、そのエピソードは、またの機会に。

和菓子屋社長のI先生に指導してもらう日々

私がI先生の音楽大学に進学したい話は、I先生にも早々に伝えました。

するとI先生は

「吹奏楽の練習をしながら、自分の受験勉強(ここでいうクラリネットの練習時間)をするのは難しいだろうから、僕の店の2階を使っていいよ」

とお声がけいただきました。

私は遠慮することなく、その日からほぼ毎日18時の部活終わりに、和菓子屋さんへ通い、20時過ぎまでクラリネットの練習をしていました。

I先生は1階の工場であんこを炊いたり、和菓子をつくったり、翌日の準備をしたり、そしてたまに私の練習を見に来てくださったり。

I先生から具体的な指導があったわけではありません。

それは私がA先生に師事(中学校編にて)しているからにほかならず、A先生の指導とI先生の指導が混在してはいけない、という配慮からです。

ただし音楽を目指すにあたっての、音楽の伝え方や伝わり方、息の取り方など、基本的なことから、心と身体の使い方についてはよくご指導いただきました。

特にI先生は音楽を奏でて、それが人に伝わることにかけては右に出る者がいないのではないかと思えるくらい、心にグッとくる世界観がありました。

音楽を聴くときに、何かイメージが伝わってくることがありませんか?

作曲者の意図を知らなくても、メロディを聴くと自分の頭と心がイメージするものがありませんか?

I先生はそれを音楽で演出してくれます。

演奏者自身も、それをイメージできるので、そのイメージと音が共鳴して、音楽が成り立ちます。

こういった経験ももちろん初めてのことだったのですが、イメージと奏でる音が絡み合ったときに、音楽が持つエネルギーやパワーが爆発力を持ちます。

クラリネットを練習しているとき、合奏しているとき、よくその世界観に浸ることがあり、

「私がやりたい指導はこれだ!創りたい音楽はこれだ!」

と確信したのでした。

私が先生になった今でも大切にしている3つの心構え

高校1年生から和菓子屋さんに通って2年が経ち、I先生との接点もほかの部員も多く持てたことで、I先生イズムが私に浸透していました。

その中のひとつ、

【人生の心構え】

をI先生が教えてくれました。

それは、

【素直であること、勉強熱心(練習熱心)であること、プラス思考であること】

です。

この3つを実践すると、必ず何事もうまくいくよ、と。

そしてI先生は私に

「お前はそれができる人間だよ」

と言ってくれました。

I先生から教えてもらったこの3つの心構えが、今の私に最も大きな影響があったことはいうまでもありません。

困難な状況が目の前に現れても、常にこのことを心の中で繰り返し、自分を奮い立たせてきました。

そしてこの心構えは、先生になった私が生徒に伝える言葉にもなっています。

実践してきた私が今幸せになっていること、夢がかなっていること、そして楽しく日々を過ごしていることは、ほかならぬこの言葉があったからなのですから。

ご購読ありがとうございました。

お世話になった先生たち
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