【私が経験した教育実習】
多くの教育実習生は、高校→大学進学→教育実習の道をたどると思いますが、私は随分と人生経験を積んでからの教育実習でした。
一般的には母校で教育実習をさせてもらうことが多い中、私は秋学期
(3学期制の学校では2学期)
の教育実習希望だったこともあり、何とかツテを頼りに、母校でも勤務校でもない高校で、私の教育実習の受け入れを許可していただき、無事教育実習ができる環境が整いました。
(しつこいくらいに、当時私の教育実習ができるように尽力していただいたT先生には感謝感謝です)
当時の情報は、教科書はあるものの、教員の采配に大いに任されていた部分がありました。
教育実習校に関して言えば、情報という科目では1年間通して定期試験がなく、授業内容もパソコン操作
(基本スキルとしてワードやエクセル、パワーポイントが使える程度)
が主な教科で、あとは情報モラルとしてビデオ学習を活用したり、という感じでした。
そんな中、私は2学期からの教育実習だったため、Officeソフトの学習は終了しており、プログラミングの授業からのスタートでした。
C言語を使用したプログラミング学習をすることになりました。
今ではなかなか考えられない実践学習です。
しかも、C言語をうまくコンパイルしてゲーム作成まで行うために、実習校では、プログラミング学習の時だけ、OSをWindowsからLinuxに変換して使用しており、変換用のプログラムをUSBメモリに実装させていました。
C言語とはいえ、どんなプログラミング言語でも、基本構造は同じなので、初回授業から教育実習の実践として教壇に立たせてもらうことになりました。
まずは、指導教官の他クラスの初回授業を見学させていただいたあと、すぐに自分の実習となりましたが、指導教官とは事前にしっかりと打ち合わせをしました。
指導教官からは、受け持つクラスの様子やスキルレベルを確認し、あとは放課後に何度も実習の練習をさせてもらいました。
準備万端にしたつもりでしたが、いざ40名の生徒を前にすると、そう簡単にうまく授業ができるはずもなく、想定外のことも起こったりしました。
当たり前のことですが、授業開始の号令とあいさつのあと、出欠確認をすることは、念頭になかったことだったりするわけです。
授業の展開にもよりますが、飽きさせないための工夫のひとつとして、実践学習に入ったときに、生徒の誰かを指名して、質問に答えてもらったりすることがあり、生徒の名前を間違えないか、というのは心に余裕がないと緊張しかないです。
しかも、生徒からすれば、
「誰?この人(この先生)?」
ってなってるわけで、人間関係も一切ないところから突然教育実習生から授業されるので、お互いに警戒はしますよね。
(しかも、20歳の大学生ではなく、お母さん世代みたいな人w)
それでも、指導教官の1学期の指導がしっかり浸透しているクラスだったので、みんな素直に授業を聞いてくれて、実習も何とかできたのかなと思います。
C言語の最終目標はゲーム作成でしたが、教育実習期間の2週間ではそんなところまではできず、プログラムの仕組みやアルゴリズムを伝えること、少し実践してみる、というあたりまでが精一杯でした。
当時の指導教官は、
「教育実習は最低でも3か月程度、有償で(きちんと給料があって)、教育現場をしっかり知ってもらうことが大事だと思う。」
と言っていましたが、とても納得した記憶があります。
私は教師になりたくて、1から勉強をして教育実習までこぎつけた経緯があったので、2週間の授業と指導教官の担任クラスの終礼ホームルームの時間だけでは、教育現場で多くを学んだとは言えない部分を感じました。
それよりも、1コマの授業計画を立てるのに相当な時間を費やすので、学校現場はほぼ知ることができませんでした。
実習期間中は、他教科の先生にもお声をかけて、授業見学させていただくこともあり、見学のあとは、必ずお礼と感想のコメントを手紙にして渡していました。
当然かもしれませんが、休憩時間はほとんどありませんでした。
あっという間の実習期間でした。
指導教官とは、担任クラスの生徒の個性などについても話し合うことがあり、私が感じた生徒の様子と受け止め方について報告すると、
「とてもよく生徒の様子を見られていて、生徒の個性も的確に把握できている。学級活動もうまくサポートできそうだね。」
とお褒めの言葉をいただいたのは、自信になりました。
【教育実習の在り方】
私は自分の経験談でしか言えませんし、ましてや指導をしたこともないので、そのような立場の先生からしたら、
「何を言っているんだ」
とおしかりを受けるかもしれませんが、私なりに教育実習の在り方について思うところがあります。
教育実習って、教員免許取得のために必要な単位なので、割り切って2週間を過ごす人もおられると思いますが、個人的には、この2週間で得られたことは多くありました。
授業計画にはとても時間がかかること。
脳内イメトレだけではなく、予行練習をしてみると、話すスピードや経過時間が想定していたものとは違うことが体感できること。
生徒の進捗がバラバラであること。
50分の授業の構成が難しいこと。
また50分の授業で、今日の目標を立てて達成できるように組み立てること。
現場では臨機応変な対応力が求められること。
生徒から助けてもらえることがあり、一緒に授業を作っているのだと実感すること。
準備はしておくに越したことはないこと。
自分の伝え方できちんと伝わったかどうか、確認する時間がないこと。
生徒が
「面白そうに、楽しそうにしているか、つまんなそうにしているか」
なんて表情を見る余裕がないこと。
2週間では、人間関係なんか築けないと思い知ること。
など…。
できることや達成感はほとんどなく、何が経験になって、教師という職業について実感することがなかった、というのが私の感想です。
頭もたくさん使ったし、時間もたくさん使ったし、その分の疲労感は十分にあったので、教育実習期間が過ぎたあとは、とにかくクタクタに疲れました。
それが充実していた時間だったかどうか、今となっては定かではありません。
ただ、1つ言えることは、大学の単位認定としてはいいとして、教育現場に身を置きたいと思っている人にとって、夢や希望や明るい未来が想像できる時間にはならないのではなかったということです。
私の指導教官が言っていたように、2週間で教育現場を知ることはできないのです。
だから、これから教育実習を受けようとしている人は、怒涛の2週間が待っているということと、その2週間が教育現場のすべてではなく、ほんの1割程度でしかないくらいのつもりで向かってもらいたいと思います。
それでも、私は
「先生って楽しいよ」
って一言伝えたいです。
ご購読ありがとうございました。
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