私が先生になるまでの道のり 【教育実習編】

板書する先生
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【いよいよ待ちに待った教育実習の始まり】

最後の砦でもあった、附属高校間で異動されたT先生を頼りに、何とも奇跡的に教育実習を受けさせていただく実習校が見つかり、最短単位取得&最短卒業をグッと引き寄せた私。

あとは教育実習内容と、初めて自分が主導する授業がうまくできるかどうかです。

綿密な打ち合わせをしたかったのですが、なんと指導教官であるT先生は多くを教えてくれません。

経験あるのみという考えで、間違っても何をしても僕がフォローするから、自分のやりたいようにやってみなさいということでした。

やりたいように…簡単な言葉ですが、これは難題を出されたと思いました。

やりたいことって何だろう、から考えるわけです。

私が担当することになったクラスは、学年の中でも進学コースを履修しているクラスで、手がかかるような生徒はいないから、1から10まで丁寧に教えなくても大丈夫だと言われました。

そして授業内容は、C言語を使ったプログラミングでした。

そこでやりたいことをリスト化します。

これはパソコン教室のインストラクターの経験が役に立ちました。

パソコン教室の受講生は各々やりたいことがあるわけです。

やりたいこと=出来たら嬉しいこと

と置き換えていつも指導してきましたし、やりたいことが出来るまでの道のりもあるわけなので、数回の教育実習で段階を経て目標を立てることにしました。

と、ここで教育実習経験者なら、中には

「ん?」

と思われた方がいるかもしれません。

教育実習は、通常高校の教科のみであれば2週間、中学免許であれば3週間行わなければいけません。

あくまで一般的な考え方、取り組み姿勢ですが、最初の1週間は、当該教科や他教科の見学をさせてもらい、レポートを書き、指導教官から指導を受け、最終週に実習形式の授業を1~2回行う、という流れです。

最終週の次週の際は、学内で詳細日時と授業内容と指導案が公開され、数名の先生や管理職の公開見学となります。

そして見学に来られた先生方から指導方法やいい点改善点などの指導を受け、それを元に教育者としての筋道を学ぶ、というのが教育実習期間の主な在り方です。

私が受けた教育実習は、この通例とは違いました。

期間がたった2週間しかない、ということを指導教官のT先生は嘆いておられました。

本気で教師を目指す人間にとって、なんて期間が短いんだ!というのです。

数か月単位で教育現場を目の当たりにし、もっと密な教育を体験してほしい、というのがT先生の思いでしたので、なんと私は教育実習3日目から、もう授業を持たされたのです。

教育実習が始まって最初の2日で顔も名前も知らない先生のところに足を運び、授業見学の依頼をし、1コマずつ他教科の見学をしまくりました。

ここだけの話、学校には

「教育実習生の見学に向いている先生(授業)」

があるんです。

ですから、私も色んな先生の所にお邪魔しましたが

「先生のほかに、この先生の授業見ていくといいよ、ていう先生を紹介してください!」

恥もかき捨て状態でがむしゃらに授業見学をしました。

学校の授業

先生のお墨付きの授業見学をしたわけですから、学びの多いこと多いこと。

教育実習で一番関心したのは

「授業展開」

についてでした。

多くの学校は1コマ50分授業です。

この時間で生徒にいかに伝えられるか、楽しく展開できるか、置いてけぼりにしないか、を詰め込まないといけないわけです。

【授業見学 授業展開のポイント① 話し方】

伝えるための工夫で多く見られたのは、話しの抑揚です

単調な話し方では聞き手も眠くなってしまったり、理解しにくく感じたりするんです。

それが上手な先生は、その世界に惹きつけるような抑揚のある話し方をされます。

強弱もそうだし、話すスピードそうです。

クラス全体に聞こえるように話す、というのも勉強になりました。

教壇に立つと1クラス35人前後の生徒がいたとして、後ろの生徒まで距離を感じることがあります。

クラス全体を見渡して生徒がこちらを見ているか、聞いているか、アイコンタクトを取りながら、話を盛り上げていく。

これは実際にやってみようと思って簡単にできることではありません。

授業のテーマが明確で、押さえたいポイントを用意し、そのポイントに向かうために必要なストーリーがあるのです。

だからストーリーに引き込めれば、生徒である聞き手の脳内にスッとポイントをインプットされるのではないでしょうか。

少なくとも私はそのように体感したのです。

このような話し方ができる先生の授業は50分があっという間に過ぎるのです。

【授業見学 授業展開のポイント② 場面変化】

話し方以外に関心したことは、授業内で場面に変化があることです。

実験などを伴う教科は、変化をつけやすいですよね。

最初の数分で授業の説明をし、実験をし実験結果を発表する、ノートに取る、といった展開ができるので、生徒の集中も都度リセットされ、授業に向き合うことができます。

しかしそれに甘んじていては結局

「面白くない」

授業になりかねないのです。

幸いにも20年前とは違い、今は生徒一人一人にタブレットなどの端末を持たせる学校も増えてきました。

私が関心した授業展開は、実験の途中経過もリアルタイムでクラスやグループで共有できるところでした。

しかもその先生は実験中の最初の段階は大型モニターで共有するのですが、途中から画面を切り替えて見せなくします。

つまり

「さぁ、この後実験を進めると何が起きたのか、自分の目で確認してごらん」

というわけです。

まるでクイズを出題されたかのようなワクワク感と、目の前で起きている事象に対して興味を持たせるような声かけがあります。

授業を受ける生徒たち

またそうやっている実験は、あちらこちらで生徒たちがワイワイと実験に向き合っているのです。

見学している私も、各グループを見て回りましたが、どのグループも楽しそうにしていました。

そして一定時間が経つと実験結果を各グループが発表するのですが、実験結果がみんな同じにならなくても問題がないものだったこともあり

「あのグループはあんな結果が出たけど、こっちのグループはこんな結果が出たね、つまり何が言えるのか、考えてみよう」

という問いかけもうまかったです。

結果が全ての世界もあると思いますが、教育現場では、結果が全てと教えたくはないな、というのが私の本音です。

よく過程が大事といいますが、私もその考えに賛同します。

この教育実習期間で見ることができた授業見学は、本当に今の私の授業展開に大いに活用されていることはいうまでもありません。

いいものはどんどん自分に取り込んでいきたいですから。

【授業案と教育実習本番】

授業案は、細分化されたものを作成します。

授業開始のチャイムが鳴り出欠確認後に授業を始めるわけですが、私が担当したのは前述にも示した通りC言語を使用したプログラミングです。

コンピュータの起動からコマンドプロンプトを起動するところまでも、授業内での時間配分をします。

1分単位で授業案に時間配分を組み込んでいくので、ここから戸惑う生徒がいないかどうか、机間巡視をしたいのですが、机間巡視をし過ぎると授業が始められなかったり進められなかったりします。

ですので先にできた生徒に

「周囲で困っている生徒が助けてあげてね」

というスタンスで進めることにしました。

ただしサポートはするが操作はしない、ということを徹底してもらいました。

進学コースのクラスだから?

かはわかりませんが、スタートはうまくいきました。

最初に私が生徒に見せた画面は、コマンドプロンプトでコンピュータ内のプログラム全容を展開したことでした。

真っ黒の画面に、白い英字がダ――っと動いていくのです。

まるで映画のマトリックスの世界のような画面を見せました。

つかみはOKってことですね。

情報の授業って、なんだか面白そう!

って思ってもらいたくて、そんなコマンドを使用しました。

プログラミング画面

これは見る人が見たらズルいことかもしれませんね。

これは教育実習生の愛嬌で許してほしいです(笑)

その後生徒には基本コマンドを教えて、コンパイル後に何が表示されたか、なぜそれが表示されたか、を伝えたりしました。

またアルゴリズムの重要性、たったひとつの記述ミスで、プログラムは実行されないこと、など伝えたいことはたくさんありました。

ですが事前に何度もシミュレーションしていたので、いろんな事態を想定して対応できるように準備をしていたこともあり、授業展開、話し方、実習、まで意識して予定していた内容を授業時間内に何とかやり終えることができました。

指導教官のT先生からも、お褒めの言葉をいただきましたし、次はもう少し難しい課題を生徒にさせてもいいんじゃないか、という次の展望についての指導もいただきました。

2週間の教育実習期間の中で、私は6回の授業を受け持つことができ、体験させていただくことができたのでした。

もうさすがにクラスの生徒の顔と名前を半分程度は覚えましたし、生徒も私の授業を楽しみにしてくれているのも体感できたので、大変貴重で、今後の教育者としての基盤になったことはいうまでもありません。

ご購読ありがとうございました。

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